腰痛は、腰を前に曲げると痛む「前屈障害型腰痛」、腰を後ろに曲げると痛む「後屈障害型腰痛」、「どちらにも当てはまらない腰痛」の3つのタイプがあります。また、急性の腰痛と慢性の腰痛とがあり、これらの自覚症状から、腰痛の原因を突き止め、正しい対処法や治療を行うことが大切です。
前屈障害型腰痛(腰を前に曲げると痛むタイプ)

まず、医療機関で診察や画像検査を受けても原因が特定できない腰痛症(慢性腰痛)のほとんどは、腰を前に曲げると痛む前屈障害型腰痛です。長時間パソコンに向かっているデスクワークの人や車の運転をしている人、看護や介護の仕事をしている人などによくみられます。
前かがみや中腰の姿勢によって、腰椎の椎間板や靭帯、背筋などに負担をかけていることが腰痛の原因です。また、前屈障害型腰痛は、下肢に痛みが「ある」ものと下肢に痛みが「ない」ものに分けられ、それぞれに疑われる病気が異なります。
【下肢に痛みがある場合】
・「腰椎椎間板ヘルニア」(神経根圧迫型・軽度、中度)など
【下肢に痛みがない場合】
・腰痛症
・腰椎椎間板症
・腰椎椎間板ヘルニア(軽度・回復期など)
・急性腰痛(ぎっくり腰)
・椎間関節性腰痛の一部
・仙腸関節障害 など
後屈障害型腰痛(腰を後ろに曲げると痛むタイプ)

後屈障害型腰痛の多くは、加齢にともなう背骨の変性や病気によるもので、画像検査で原因を特定しやすいのが特徴です。後屈障害型腰痛も下肢に痛みが「ある」場合、「ない」場合があり、それぞれ疑われる病気があります。
【下肢に痛みがある場合】
・腰椎椎間板ヘルニア(神経根門絞扼(こうやく)型)・中度、重度)
・腰部脊柱管狭窄症
・腰椎分離症・分離すべり症
・腰椎変性すべり症 など
【下肢に痛みがない場合】
・変形性腰椎症
・椎間関節性腰痛
・急性腰痛(ぎっくり腰)
・仙腸関節障害
・腰椎症 など
【どちらにもあてはまらない腰痛】
・可能性脊椎炎
・脊椎腫瘍(がんの転移)など
腰痛のタイプ別の対処法
急性腰痛(ぎっくり腰)など、痛みが強いときは数日間安静にしますが、安静にしすぎると関節の動きが悪くなったり、腹筋や背筋が衰え、症状が悪化する原因になるので、痛みが軽くなったら、徐々に体を動かしましょう。
前屈障害型腰痛の人には、腰の骨と骨の間を広げたり、腰を反らしたりする運動がおすすめです。一方、後屈障害型腰痛の人は、腰を丸める運動をすると痛みがやわらぎます。また、軽いスクワットなどで腹筋や背筋を鍛えるのはどちらのタイプの腰痛にも有効です。
急性腰痛と慢性腰痛
腰痛は前屈障害型腰痛(前に曲げると痛い)と後屈障害型腰痛(後ろに曲げると痛い)に分けられるほか、「急性腰痛」と「慢性腰痛」があります。
突然激痛に襲われる急性腰痛
急性腰痛は、いわゆる「ぎっくり腰」といわれる腰痛で、ちょっとした動きでも激痛が走るほど猛烈な痛みが特徴です。何らかのきっかけで突然起こります。中腰になって物を持ち上げようとしたとき、急に後ろを振りむいたとき、運動しているときなど、日常の何気ない動作で起こることが大半です。

急性腰痛は、痛みは強烈ですが、ほとんどの場合は数日間安静にしていれば治り、それほど心配のない腰痛です。
しかし、急性腰痛はたびたび繰り返す場合があるので、再発に注意が必要です。しかも、ぎっくり腰は、繰り返すたびに症状が重くなっていくことが多いので、痛みが治まったら念のために整形外科で診察を受けると良いでしょう。
痛みが長期間続く慢性腰痛
痛みがいつ発症したかはっきりせず、痛みが3カ月以上続くものを「慢性腰痛」といいます。慢性腰痛で多いのは、仕事などで同じ姿勢をとっている人、重労働の人、運動不足の人、肥満で腰に負担がかかっている人に多く見られる「腰痛症」と呼ばれるタイプです。
歳だからしかたがないと放置せず、腰に負担をかける動作をなるべく避ける、自分の腰痛のタイプに合った運動を行う、筋肉を鍛えることなどで、改善に向かいます。
しかし、症状がなかなか良くならない場合や、痛みが強くなる場合は、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアなどが進行していることも考えられます。
また、内科的な病気による場合、精神的なものが原因で起こる場合もあるので、原因を突き止めるという意味でも、早めに整形外科を受診することをおすすめします。
まとめ
一口に腰痛といっても、原因によってさまざまな症状があり、対処法も異なります。例えば、急性腰痛(ぎっくり腰)の場合、無理をして病院に駆け込むのではなく、痛みがやわらぐまで、しばらく自宅で安静にしている必要があります。
ご自身の症状のタイプを知ることで、ある程度、腰痛の原因を推測することができ、正しい対処法や治療につながります。












