腰痛症とは?
腰痛の症状はさまざまですが、最も多いのが「腰痛症」(慢性腰痛症)です。腰痛症は、エックス線検査などをしても特定の異常が見つからないにも関わらず、腰が痛む症状の総称で、症状のほとんどが鈍痛です。「腰がこる」「だるい」「重い」などの自覚症状をともないます。また、こうした症状が3カ月以上続く場合を「慢性腰痛症」ともいいます。
腰痛症の症状
腰痛症は、同じ姿勢でデスクワークを続けたり、長時間車の運転をしたり、中腰の姿勢を続けたり、といった人に多くみられます。次のような症状の特徴があります。
・いつも何となく腰が重い
・長く同じ姿勢でいると腰が痛む
・腰がこる
・腰がだるい
・休んだり寝ていたりすると痛みが楽になる
・痛い箇所に左右差がなく、腰全体が痛い
腰痛症の原因
人の体は、頭から骨盤まで、骨が正常な状態に並んで、はじめてスムーズに動くことができます。姿勢が悪くなって、その位置関係が狂ってくると、骨や筋肉に負担がかかって腰痛の原因になります。
また、靭帯、椎間板、その他の軟部組織の慢性的な疲労や、過度の緊張が続くことも痛みの原因と考えられます。具体的には、次のような原因があげられます。
「悪い姿勢」
猫背、胸の反らしすぎ、お腹を突き出した姿勢などは、腰椎の負担を増やし腰痛を招きます。同じ姿勢を続ける、中腰での作業、ヒールが高い靴の使用なども痛み引き起こす原因です。
また、不適切な姿勢はもちろん、正しい姿勢であっても長時間同じ姿勢を続けることは、腰の筋肉が緊張し、血液循環も悪くなるため、筋肉が疲労して椎間板に大きな負担をかけてしまいます。
なお、正しい姿勢とは、耳、肩、股関節、ひざ、くるぶしが重心線(床に対して垂直な線)上に一直線に並んで、背骨がゆるやかにカーブしている状態です。
【正しい姿勢】

【正しい姿勢と悪い姿勢】

【正しい姿勢と悪い姿勢の重心の違い】

※スウェイバックとは、上半身が下半身より後ろに位置(スウェイ)した状態で、反り腰に猫背を合わせたように見える姿勢を指します。
「運動不足」
運動不足も腰痛症の原因となります。運動をしないと、背骨を支える腹筋群や背筋群、腸腰筋など腰回りの筋肉が衰え、腰椎を正しく保持できなくなり痛みが生じます。
【腹筋群】

【背筋群】

【腸腰筋】

なお、腹筋や背筋は1つの筋肉ではなく、お腹や背中を支えるいくつかの筋肉の総称です。それぞれの筋肉は、厳密に言えば、トレーニングの仕方が異なります。そのため、自己流で運動を行うよりも、理学療法士やトレーナーなどに筋肉の正しい鍛え方を教えてもらうと良いでしょう。
「肥満」
体重が増えれば増えるほど、腰にかかる負担は増加します。さらにおなかが出ることによって、姿勢も乱れるため腰の痛みの原因となります。

腰痛症はどんな人に多いか?
腰痛症は次のような人に多く見られます。
・働き盛りの世代(30~50歳代くらい)
・事務職、販売員、運転手、介護職、医療従事者、重労働の人、農業従事者、妊婦など
腰痛症の治療
腰痛症の痛みは放っておいても治まることもありますが、慢性化するケースも多いです。姿勢など生活習慣が原因の場合、悪い習慣を改めることが最善の治療法といえます。
「姿勢を正す」
姿勢が悪くなると、背骨を支えきれずに、関節などが固まってしまいます。すると筋肉が緊張し、こりや痛みが起こり、こりや痛みが起こると、ますます筋肉を使わなくなり筋肉が衰えます。筋肉が衰えると、さらにこりや痛みが生じる……という悪循環に陥ります。
そのため、常に正しい姿勢を心がけることが、腰痛症の改善につながります。
【良い姿勢と悪い姿勢】

【良い姿勢での座り方】

「運動不足を解消する」
腰痛症を改善するには、無理のない範囲で腹筋や背筋を鍛える運動を行いましょう。筋肉を強くすることは、正しい姿勢を保つうえで非常に重要です。また、運動は筋肉のこりをほぐして血液循環をよくするため、痛みの緩和につながります。
さらに、筋肉の柔軟性を高めるストレッチなども行うと、硬くなった腰回りの筋肉をほぐして、腰痛の改善につながります。
「ダイエットする」
肥満の人は、ダイエットすることも必要です。適正体重は、BMI(ボディマスインデックス)という国際的に用いられる指標を使うと良いでしょう。
日本肥満学会の定めた基準ではBMI18.5未満が「低体重(やせ)」、18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」で、肥満はその度合いによってさらに「肥満1」から「肥満4」に分類されます。BMIは以下の方法で求められます。
BMI = 体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))
例えば、身長が160cmで体重が70kgの人は、70÷(1.6×1.6)=27.3となり、肥満度(1度)に該当します。なお、日本人の場合、男性は23.8、女性は22.6くらいが平均値といわれています。


BMIが25以上の「肥満」に該当する人は、まずはBMIを25以下にすることを目標にすると良いでしょう。1カ月で1kg程度が減量の目安です。また、肥満の程度が大きい人は、まずは体重の5%を減らすようにしましょう。
「腰を温める」
温めると痛みが軽減する場合は、入浴やカイロで患部を温めて血行を改善し、筋肉の緊張をほぐすのも効果的です。病院でもホットパック(パック状のゲル物質や熱線が入った器具)や赤外線などを利用した治療が行われています。
「その他、病院での治療」
病院では、安静にした状態で骨盤を引っ張って椎間板の負担を軽減する「牽引療法」や、筋肉の緊張をやわらげる「運動療法」、湿布薬や痛み止めなどを使う「薬物療法」などでの治療が行われます。
また、患部を固定して保温と筋肉の動きを補助するコルセットの装着をすすめられることもあります。












