日本は世界でも有数の長寿国です。せっかく長くなった人生を元気に楽しく過ごすためには、足腰の元気が欠かせません。ところが、加齢や病気などで足腰が弱って要介護や寝たきりになる人が増えていることから、足腰の弱りを招きやす状態を「ロコモティブシンドローム=運動器症候群」と名づけて注意を呼びかけています。
この記事では、ロコモティブシンドロームについて、解説します。
ロコモティブシンドロームとは?
厚生労働省が行った国民生活基礎調査の結果、介護が必要となった約4人に1人が、「骨」「関節」「筋肉」などの運動器の衰えが原因であることが分かりました。これを予防するために日本整形外科学会が提唱したのがロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)です。
ロコモは予備軍を含めると約4,700万人。40歳以上の男女の5人に4人がロコモ及び予備軍と推定され、新たな国民病といわれます。
ロコモは、「骨」「関節」「筋肉」それぞれの働きが加齢や病気によって低下することから始まり、次のような症状が現れます。
・膝や腰の痛み
・膝関節の変形
・筋力の低下
・バランス能力の低下
「骨」「関節」「筋肉」などの運動器は、それぞれの役割を持って連携し、体を動かしています。そのため、どれか1つでも機能が低下すると、他の運動器にも障害が現れ始めます。すると、次第に歩行が困難になり、歩けない、立てない状態となり、介護が必要な状態となってしまうのです。
関節の機能が低下するとはどういうこと?
膝がスムーズに動くのは骨の先端を包む関節軟骨が、膝への衝撃や負担を和らげているからです。しかし、長年の膝への負担から関節軟骨がすり減ったり、関節軟骨と共にクッション材の役割を果たす半月板が変形すると、慢性的な痛みが起こります。
関節軟骨がすり減ってなくなると、骨同士がぶつかって痛みが起こり、さらに進行すると、骨そのものが変形してO脚が進みます。この一連の症状が「変形性膝関節症」でロコモの大きな原因のひとつです。
【正常な膝関節】 【関節軟骨がすり減る】 【関節軟骨がなくなる】

ロコモになりやすい人
筋肉や骨は、常につくり換えられています。その時に適度な負荷をかけると、「もっと丈夫にならなければ」と骨も筋肉も丈夫になります。そのため、適度な運動を習慣にしている人や日常的によく体を動かしている人はロコモになりにくいといえます。一方で、ロコモになりやすい人は次のような人たちです。
・肥満の人……日常生活で膝にかかる負担は、歩行で3.1倍、階段上りで5.4倍といわれています。そのため、体重が増えるほど膝への負担が増すため変形性膝関節症などの膝の障害の原因となります。
・女性……膝の痛みを訴える高齢者のほとんどが変形性膝関節症といわれています。特に、軟骨や靭帯が弱い傾向にある女性の発症率は、男性の2倍です。筋力が低下して体脂肪が増える40代以降に多く見られるため、特にこの年代は注意が必要です。
【自分でロコモチェック】
次の項目に当てはまることがあれば、ロコモの可能性があります。
□ 2kg(1ℓの牛乳パック2個)程度の重さの買い物を、持ち帰るのが困難
□ 片足立ちで靴下が履けなくなった
□ 横断歩道を青信号の時間内に渡り切れない
□ 15分くらい続けて歩けない
□ 家の中でつまづいたり、滑ったりする
□ 掃除機の使用や、布団の上げ下ろしなどの家事が困難に感じる
ロコモを予防する運動
ロコモ予防には、膝関節などへ過剰な負担をかけず、下半身の筋力を鍛えると同時にバランス能力を高める運動が有効です。中でも簡単にできるのが「スクワット」です。また、ロコモ予防だけでなく身体の中で最も大きな筋肉が鍛えられるので、基礎代謝も増えて痩せやすくなるというメリットもあります。

膝に痛みがあっても動かしたほうがよい?
膝が痛いからといって動かずにいると、関節周辺の筋肉が衰えて膝がぐらつくようになり、少しの動きでも痛みを感じるようになってしまいます。また、膝にはある程度の負荷をかけていないと、関節軟骨の代謝が悪くなり、軟骨に必要な栄養も届かなくなります。
そのため、できる範囲でストレッチなどを行いましょう。痛みが続く場合は、無理に運動を続けずに医師に相談してください。
日常生活で気をつけること
まずは、姿勢を見直しましょう。背筋を伸ばすだけで、腰や膝への負担が減り、筋肉も正しく使われるようになります。そしてなるべく階段を使う、1駅分は歩くなど、日常で体を動かす機会を増やしましょう。
骨の素材となるカルシウム、ビタミンD、ビタミンK、筋肉や軟骨の素材となるタンパク質を摂ることも大事です。
運動をする際は、急激なストレッチや激しい運動はかえって関節を痛めますので、ストレッチはゆっくり、運動量は加減して行いましょう。
まとめ
ロコモは、要介護の原因となる新たな国民病といえます。加齢による「骨」「関節」「筋肉」
の機能低下によって発症するため、下半身の筋肉を鍛えることを意識して、適度な運動を毎日続けることが予防につながります。
膝や腰に痛みを感じたら「歳のせい」と放置せずに、体からのSOSのサインととらえて、痛みが続く場合は必ず受診してください。












