腰痛の原因とは?
筋肉の状態が原因となる腰痛
腰痛は、筋肉に由来する痛みと骨に由来する痛みとに大きく分けられます。腰回りの筋肉には上体の重さをすべて支える腰椎を正しい姿勢に保つため、常に大きな負担がかかっています。
しかし、猫背など姿勢の悪さや同じ姿勢を長時間続けたり、重いものを頻繁に持ち上げたりするなど、腰の筋肉にさらなる負担を加えると、筋肉が疲労して腰痛が起こります。筋肉の中にたまった疲労物質(乳酸)が筋肉の外に運ばれず、筋肉内にとどまることで「痛み」として知覚されるのです。
また、運動不足や加齢などによって腰回りの筋肉が衰えると、筋肉の柔軟性が損なわれ、筋肉が凝り固まったり、血行が悪くなったりするため、腰痛が起こります。
骨や椎間板の状態が原因となる腰痛
「椎間板の変性」
椎間板の変性で最も顕著なものが髄核に含まれている水分の減少です。赤ちゃんのときは90%以上の水分を含んでいますが、70歳ぐらいになると65%ほどに減少してしまいます。そうすると、髄核の弾力性が失われてクッションとしての役割が果たせなくなるため、椎体に押されて繊維輪に負担がかかり、亀裂が入るようになります。【図1,2】
また、椎体同士が正常な状態を保てず、ぶつかりやすくなり、靭帯の変性も加わった結果、椎体のふちに骨を増殖させます。これはとげのように見えることから骨棘(こっきょく)とも呼ばれています。【図3】
【図1】

【図2】

【図3】

「椎間関節の変性」
椎間板の負荷を受け止める力が減ってしまうと、椎間関節へその分の負担がかかるようになります。椎間関節にも加齢による変性はありますが、さらに負担が増えることによって変性が起こりやすくなるのです。
また、関節の突起面は軟骨で覆われていますが、この軟骨が摩耗したり、周辺部には骨棘が増殖したりして、脊柱管の狭窄が起こるようになります。このような椎間板や椎間関節の変性によって、脊柱を支える力が失われていくと脊椎の湾曲が変化していきます。そうすると必然的に腰に負担が多くかかるようになり、腰痛を引き起こしやすくなります。
「姿勢の悪さによる腰痛」
腰痛は2本足歩行の人間の宿命とされていますが、それでも腰痛にならない人もいます。そのポイントは脊椎の彎曲を維持する正しい姿勢にあるといえるでしょう。腰の反りすぎや前かがみなどの姿勢は腰痛を引き起こす大きな原因となります。【図4】
姿勢の悪さによって骨盤が前傾したり、後傾したりすると腰椎を垂直に保とうとするために腰椎は本来のカーブを描けなくなります。そのため椎間関節に負担がかかり、神経の根元が刺激を受けやすくなり腰痛を引き起こします。肥満や妊娠によって、姿勢が反り腰になった場合などによく見られます。【図5,6】
【図4】

【図5】

【図6】

「靭帯の異常」
骨同士をつなぎ合わせている腰部の靭帯が傷つくことも腰痛の原因となります。また、老化で靭帯が分厚くなったり、靭帯が骨化して脊柱管を狭めて神経を圧迫すると、腰痛や下肢のしびれが起こることもあります。【図7】
【図7】

そのほかにも、脊椎の骨折やずれ、加齢による椎骨の変形や潰れ、椎間板の突出なども腰痛の原因となります。
内臓の病気から起こる腰痛
骨や筋肉など整形外科的な腰痛の場合は、特定の動作をしたときや体重をかけたときに痛むのが特徴ですが、安静にしていても痛むときや腰痛以外の症状がある場合は、内臓の病気が潜んでいる疑いもあります。
例えば、急性胃炎や十二指腸潰瘍など消化器系の病気、尿路結石症、腎盂腎炎などの泌尿器の病気から腰痛が引き起こされることがあります。
また、乳がんや前立腺がん、肺がんなどの腫瘍が脊椎に移転したり、脊椎や脊髄自体の腫瘍が原因となったりして腰痛が起こることもあります。
女性の場合は、生理や妊娠中のときや子宮内膜症、子宮筋腫などの病気が腰痛を引き起こす場合もあります。
精神的な原因による腰痛
ストレスや心身症、うつ病など精神的な要素が原因で腰痛になる場合も少なくありません。このようなタイプは、そのときどきで痛み方が変わったり、痛む場所が移動したりするのが特徴です。
痛みの訴えもさまざまで、整形外科で検査をしても明らかな異常は見つからず、いくら治療をしても良くならないため、医療機関をあちこち回っている人も多くみられます。このような場合は、精神科での治療が必要です。












